平成27年度 市立奈良病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 902 259 320 568 561 738 1,528 2,340 1,688 362
高齢の方が占める割合が高く、60代が全体の16.5%、70代以上が全体の47.4%となっています。また、当院では小児科救急に力を入れ、輪番に参加しているので15歳未満の入院が約11%を占めています。
若年層である20~30代の入院のうち約55%は周産期に関連した入院となっています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 110 13.28 14.34 11.8% 70.89
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 66 23.39 21.69 34.8% 85.64
110310xx99xxxx 腎臓または尿路の感染症 手術なし 45 13.91 12.60 17.8% 78.11
内科では肺炎の患者さんが最も多くなっております。重症呼吸不全の場合、集中治療室で対応します。
次いで誤嚥性肺炎が多く、平均年齢は80歳を超えております。高齢の患者さんが多く、重症化しやすいため、2週間以上の入院となることが多いです。
3番目に多いのは尿路の感染症で、その他、糖尿病緊急症、不明熱、急性薬物中毒などの疾患を診療しています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 134 3.42 3.07 0.7% 69.60
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 106 17.18 18.30 9.4% 81.71
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 97 4.91 4.87 1.0% 70.94
生活様式の欧米化や高齢化にともない、動脈硬化性疾患(心血管系疾患,脳血管障害など)による死亡が本邦における死因の約3分の1におよぶ中、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患や,高血圧に起因する心不全が増えています。当科では虚血性心疾患に対する冠動脈造影検査や冠動脈有意狭窄病変に対する経皮的冠動脈形成術を数多く行っています。また、当院では救急医療に力を入れており、急性または慢性心不全の急性増悪により救急搬送されてくる患者さんを数多く受け入れています。これらの患者さんは急性期の治療ののちに心臓リハビリテーションを受けて退院・転院されることが多いです。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx03xx0x 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的消化管止血術等 定義副傷病なし 226 2.01 - 0.0% 67.01
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2なし 76 10.07 11.98 0.0% 73.55
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 71 9.24 10.93 2.8% 91.00
消化器内科の疾患別入院で、最も多いのは大腸腫瘍(ポリープ、早期がん)に対する内視鏡的治療です。5名の消化器内視鏡専門医で全例にCO2送気を用い、より苦痛の少ない大腸内視鏡検査で高レベルの診断、治療を行っています。小さなポリープは外来での切除を基本としていますが、入院で行う大きな病変に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は当科の最も得意としている治療技術です。次に多いのは肝細胞がんを中心とする肝臓の悪性腫瘍です。2名の肝臓専門医が診断からラジオ波焼灼術(RFA)、放射線科専門医と共同で行う血管塞栓術(TAE, TACE)、さらに薬物治療まで一貫して診療にあたります。また肝細胞がんの発生原因となる慢性肝炎や脂肪肝炎を特に重視し、多数の患者様の診断、治療を行っています。3番目に多いのが胆管炎、胆嚢炎、閉塞性黄疸などの腹部緊急症です。腹痛、発熱、黄疸などの症状で救急受診、また他院から紹介されてくる多くの患者様に対し、救急専門医とも協力して短時間で的確に診断し、内視鏡的、または経皮的な緊急治療を24時間体制で行っています。
これらの他、胃癌、大腸癌などに対する抗癌剤治療や、消化管出血、腸閉塞などの救急疾患にも幅広く、迅速な対応を行っています。
糖尿病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100070xxxxxxxx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 61 9.31 15.35 0.0% 64.26
100060xxxxxxxx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) - - - - -
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - - - - -
糖尿病内科において,入院症例の大多数を占めるのは,インスリン導入を含めた1型および2型糖尿病の教育入院です.この中には,他診療科の手術前の血糖コントロールも含まれています.1~2週間の入院中に,糖尿病が自己管理できるよう,糖尿病療養指導士(CDE)の資格をもったスタッフが指導を行います.
また,糖尿病の急性合併症としては,糖尿病性ケトアシドーシスや非ケトン昏睡も,その数は多いものではありませんが急性期病院においては重要な疾患です.
神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x099030x 脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等23あり 定義副傷病なし 82 16.66 18.08 30.5% 68.84
010060x099000x 脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 44 18.43 15.80 31.8% 73.32
010160xx99x00x パーキンソン病 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 37 15.49 19.00 10.8% 74.14
急性期脳梗塞が上位を占めています。当院では発症後4時間30分以内の脳梗塞患者にt-PA血栓溶解療法を行っています。さらに発症後6時間以内の脳梗塞患者に脳血栓回収術を行っています。その他急性神経疾患である神経炎症性疾患(脳炎、髄膜炎、ギランバレー症候群など)、てんかん重積患者の診療も行っています。一方神経難病のパーキンソン病患者に対して薬剤調整や短期間のリハビリテーションを行っています。
外科(消化器外科;乳腺外科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060335xx0200xx 胆嚢水腫、胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 84 6.77 7.84 0.0% 59.85
090010xx02x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 単純乳房切除術(乳腺全摘術)等 手術・処置等2なし 61 9.84 10.37 0.0% 67.89
090010xx03x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 手術・処置等2なし 51 7.69 6.79 0.0% 57.84
当院の外科は、疾患に応じて「一般外科・消化器外科」と「乳腺外科」がそれぞれ独立して診療にあたっています。
一般外科・消化器外科で多い疾患は、胆嚢結石症・大腸癌・鼠径ヘルニアの順です。
胆嚢結石症は、急性胆嚢炎・急性閉塞性化膿性胆管炎で発症し、消化器内科で診断・緊急治療を受けた後、消化器外科に転科、腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行する症例が極めて多いのが特徴です。大腸癌は早期癌・進行癌ともに年々増加しており、そのほとんどを腹腔鏡下の切除を行っています。術後の補助化学療法も消化器外科で行っています。鼠径ヘルニアは数年前までは前方アプローチが主でしたが、最近はほとんどの症例で腹腔鏡下修復術を施行しています。5mmの創が3か所あるのみなので、術後創部痛は極めて軽微なのが特徴です。
乳腺外科では、乳腺疾患に関してより専門性の高い医療を提供できるように、資格を持った人材や設備を整えて診療を行っています。特に乳癌に対しては診断から手術、化学療法、放射線治療、乳房再建手術など、一貫して当院で行えるシステムを構築しており、近隣の皆様に多くの支持をいただいております。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x10x 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等21あり 定義副傷病なし 21 13.48 21.39 0.0% 67.86
040200xx01x01x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2なし 定義副傷病あり - - - - -
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - - - - -
奈良県の地域がん診療連携拠点病院である当院は、日本呼吸器外科学会より呼吸器外科手術の施設認定を受けております。平成27年度は年間46例の手術を行い、そのうち原発性肺がんが22例となっております。気胸に対する手術も積極的に施行しております。
当科の手術は、そのほぼ全例を「胸腔鏡手術」で行なっております。また通常では難しいとされる「小さな病変を的確に切除する」ことも、独自の手法を用いながら執り行なっております。
さらに従来の手術治療だけでなく、術後補助化学療法を含めた化学療法や放射線療法、あるいは手術前後の栄養指導や呼吸リハビリテーションも行い、肺がんの包括的な治療を目指しております。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010050xx02x00x 非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 46 11.59 11.91 8.7% 77.59
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 26 6.12 3.15 0.0% 58.50
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 23 13.26 7.52 17.4% 63.35
脳動脈瘤の治療は、当科の場合、開頭クリッピング術と血管内手術(コイル塞栓術)の両方を行っています。病状に応じて最適の治療ができるように適応を判断しています。さらに、救急車の受け入れを積極的に行っているため、頭部外傷や脳卒中の搬送が多く、急性期の治療を行っています。高齢者の慢性硬膜下血腫も多い疾患で、必要ならば手術を行います。その他、頚動脈狭窄症に対するステント治療や内膜剥離術、また、脳腫瘍の治療は、良性腫瘍だけではなく、悪性腫瘍の手術・化学療法・放射線治療も行っています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 99 27.67 28.70 71.7% 81.98
070343xx99x1xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 手術なし 手術・処置等21あり 96 3.24 3.11 1.0% 72.84
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 64 30.19 27.21 25.0% 76.39
整形外科は外傷および脊椎外科、膝関節外科、手外科を中心に治療を行っています。当院は急性期病院ですので、積極的に救急患者さんを受け入れています。そのため高齢の大腿骨骨折の患者さんが多くなっています。高齢の患者さんのリハビリには時間を要するため、多くの方がリハビリ治療を専門としている病院に転院されています。脊柱管狭窄症も多い疾患ですが、約90名の方が短期間の検査入院を受けられ、このうち80名程度の方が後日手術を受けられています。膝関節外科は人工関節置換術を主に行っていますので、リハビリのため在院日数が比較的長くなる傾向があります。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) その他の手術あり 手術・処置等1なし 19 3.16 5.12 0.0% 51.42
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2なし 15 2.33 3.54 0.0% 72.27
090010xx02x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 単純乳房切除術(乳腺全摘術)等 手術・処置等2なし 14 14.07 10.37 0.0% 47.71
当科では、日本形成外科学会の定める11項目を中心に各種形成外科診療を行っています。
入院患者では、皮膚の良性腫瘍症、眼瞼下垂、乳がん切除後の再建などの手術を最も多く取り扱い、その他、悪性腫瘍の切除と再建、顔面外傷や口唇その他の先天異常症の手術、熱傷、褥瘡や糖尿病性足病変の治療などを実施しております。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040080x1xxx0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳未満) 手術・処置等2なし 234 5.44 5.72 0.0% 4.82
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 157 5.14 6.31 2.5% 2.80
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 手術・処置等2なし 69 5.46 5.54 0.0% 2.52
一般小児急性疾患、救急を中心に診療を行い、昨年度の入院患者は913人でした。急性疾患では感染症、特に肺炎、気管支炎、気管支喘息など呼吸器感染症、次に急性胃腸炎などの消化器感染症などが多くを占めます。また腎疾患ではIgA腎症、紫斑病性腎炎などの慢性腎炎やネフローゼ症候群などがあり、症例によっては腎生検も行っています。小児救急患者は多く、入院患者のうち223人は当直帯の時間外入院でした。救急入院では呼吸器感染症以外に、けいれん性疾患や腸重積症などの疾患がみられます。また最近は食物アレルギー患者の増加に伴い、食物アレルギー負荷試験などの検査入院にも力を入れています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080011xx99xxxx 急性膿皮症 手術なし 19 11.84 11.97 10.5% 63.53
080190xxxxxxxx 脱毛症 13 3.00 3.74 0.0% 42.31
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 12 9.42 8.97 0.0% 70.25
1番目の急性膿皮症は細菌感染に伴う蜂窩織炎や丹毒です。発熱・体調増悪がある場合入院治療を行います。
2番目の脱毛症は、広範な円形脱毛症に対しステロイドのミニパルス治療で3日間点滴を行います。
3番目の帯状疱疹は、ウィルスによる有痛性の発疹です。重症になれば発熱・倦怠感が増悪し、入院治療となります。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 54 5.80 7.59 0.0% 72.54
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術等 手術・処置等1なし 定義副傷病なし 32 4.72 5.91 0.0% 67.38
110080xx01x0xx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 22 11.64 14.03 0.0% 68.23
当院では泌尿器科癌の手術と尿路結石症の内視鏡手術が中心です。最も多くなっている膀胱癌の経尿道的手術は、治療もさることながら診断としても重要です。前立腺癌の診断では当院では入院せずほとんどの方が外来日帰りで針生検(年間平均80件)を受けておられますので件数としてはあがっていません。当院での前立腺癌に対する根治術では、通常手術では治しにくいと言われる局所進行癌に対して少し広めに切除する開腹手術を採用していますので、内視鏡的手術(鏡視下あるいはロボット)の件数は上がっていません。
結石治療では最新のレーザーと軟性尿管鏡を用いた経尿道的手術で結石を見ながら、衝撃波より、より確実に除去するようにしています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120260xx01xxxx 分娩の異常 子宮破裂手術等 117 10.57 9.63 0.0% 32.03
120170xx99x0xx 早産、切迫早産 手術なし 手術・処置等2なし 77 22.12 20.87 5.2% 30.26
120140xxxxxxxx 流産 61 1.44 2.34 0.0% 32.66
平成27年度の分娩は555件あり、妊娠や出産に関する疾患での入院患者が診断群分類別患者数では上位を占めているようです。妊娠される方の年齢が年々高齢化しているのに伴いハイリスクの妊婦さんも増加しますが、当院では帝王切開での出産が毎年全分娩件数の30%前後となっており、これが分娩の異常(1番目)として集計されているようです。妊婦の5%は早産しますが、早産を防ぐ目的で入院していただいている患者さん(切迫早産)が2番目に多いようです。残念ながら入院によっても軽快しない妊婦さんはNICUのある周産期医療センターに搬送しています(転院率5%)。妊婦が高齢になると流産も増加します(3番目)。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり片眼 873 3.50 - 0.0% 75.81
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり片眼 24 13.71 11.08 0.0% 60.58
020180xx97x0x0 糖尿病性増殖性網膜症 手術あり 手術・処置等2なし片眼 16 10.88 8.62 0.0% 57.19
当院眼科の入院は、ほとんどが手術を受けていただく患者様です。また、昨年度の入院患者955名のうち、96.5%の患者様が白内障に対する水晶体再建術であるため、比較的ご高齢の方が多い特徴にあります。現在は、片眼で1日から3日間入院で、両眼の場合、片眼ずつ少し間隔をあけて手術をされるか、6日間の入院で両眼とも手術してしまうか、年齢・全身状態・居住地を鑑みて相談させていただいております。
 次に多い症例は、網膜硝子体疾患である網膜剥離、糖尿病性網膜症手術になります。これら疾患は、術後安静が必要となりますので、約1週間の入院とさせていただいております。
耳鼻いんこう科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 43 7.53 8.20 0.0% 18.91
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 32 4.66 5.53 0.0% 41.38
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 28 5.50 7.76 0.0% 51.71
当科で最も入院数が多いのは口蓋扁桃摘出術(アデノイド切除も含む)です。慢性扁桃炎、あるいは口蓋扁桃肥大、アデノイド増殖症による気道障害は耳鼻咽喉科疾患の中で多く、それに対する手術は市中病院としての役割と考えています。慢性扁桃炎の程度が強い患者様は遅発性の出血のリスクのため術後入院期間を長めにしており、平均在院日数が7.5日になっています。緊急入院としましては急性扁桃炎などで飲水困難な上気道感染、重症な突発性難聴、めまいの症例が多いです。副鼻腔炎に対する内視鏡手術も粘膜下下甲介切除術、後鼻神経切断術、鼻中隔彎曲矯正術含めて多く施行しています。悪性腫瘍に対する手術も甲状腺を中心に施行しています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 81 - - 53 25 12 1 6
大腸癌 28 27 68 21 - 10 1 6
乳癌 55 89 17 - - 15 1 6
肺癌 21 - - - 13 - 1 6
肝癌 18 15 14 - 14 72 1 6
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
当院は平成20年度から地域がん診療連携拠点病院に指定されており、手術、放射線治療及び化学療法を効果的に組み合わせた集学的治療や緩和ケアを提供する体制を有し、患者さんの状態に応じて各学会の診療ガイドラインに準じた標準的な治療を提供しています。
取り扱う癌の種類は、表にあるような5大癌だけではなく、脳や生殖器系、皮膚等様々です。また乳房再建など失われた器官の再建や癌に関連した血管内治療も積極的に行っています。
そして、身体的な治療だけではなく、患者さん、ご家族に寄り添いながらQOL(Quality Of Life)向上をめざし、適宜心療内科や臨床心理士の介入によって精神的なケアも行っています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
重症度 0 20 10.55 49.65
重症度 1 32 11.25 71.41
重症度 2 27 14.85 82.22
重症度 3 20 20.00 84.60
重症度 4 - - -
重症度 5 - - -
不明 - - -
A-DROPスコアを用いて判定した結果を示しており、重症度0は軽症、重症度1~2は中等症、重症度3は重症、重症度4~5は超重症の状態です。
市中肺炎(院外で発症した肺炎)で入院された症例は、年齢層があがると重症度があがり、平均在院日数が伸びているという傾向にあります。
脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード
ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 3日以内 14 6.71 73.07 0.00%
その他 - - - -
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 3日以内 - - - -
その他 - - - -
I63$ 脳梗塞 3日以内 209 23.06 72.58 42.11%
その他 16 15.28 70.53 50.00%
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内 - - - -
その他 10 7.47 68.60 0.00%
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内 10 16.64 72.55 30.00%
その他 - - - -
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> 3日以内 - - - -
その他 - - - -
I679 脳血管疾患,詳細不明 3日以内 - - - -
その他 - - - -
当院では、平成27年6月に脳卒中センター(神経内科・脳神経外科)を設置し、脳卒中ホットライン(近隣医療機関や救急隊から専門医に直接診療依頼が可能)を運用しています。脳卒中専門医や脳血管内治療指導医を中心にホットラインを活用しながら急性期の脳梗塞治療にあたっています。 発症後4時間30分以内の脳梗塞患者にはt-PA血栓溶解療法、さらに発症後6時間以内の脳梗塞患者には脳血栓回収術を行っています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 102 3.34 3.06 2.9% 70.73
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 56 2.96 6.38 3.6% 73.59
K5972 ペースメーカー移植術 経静脈電極の場合 38 6.11 10.82 10.5% 78.08
虚血性心疾患に対するPCI(冠動脈インターベンション)、下肢閉塞性動脈硬化症等の末梢動脈疾患に対する血管拡張術、徐脈性不整脈等に対するペースメーカー移植術が上位を占めています。
当科では他にもRFCA(カテーテルアブレーション治療)や、重症循環不全・心肺停止症例に対する積極的な集中治療(PCPS,IABP,低体温療法)を行っています。肺高血圧症専門病院として専門的治療(慢性血栓塞栓性肺高血圧に対する肺動脈バルーン形成術など)にも対応しています。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル未満 235 0.27 1.29 0.0% 67.18
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 77 1.71 8.56 0.0% 73.56
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 75 2.75 15.64 8.0% 81.36
手術症例が最も多いのは大腸腫瘍(ポリープ、早期がん)に対する内視鏡的ポリープ切除術で、5名の消化器内視鏡専門医が全例にCO2送気を用い、より苦痛の少ない大腸内視鏡検査で高レベルの診断、治療を行っています。
小さなポリープは外来での切除を基本としていますが、入院で行う大きな病変に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は当科の最も得意としている治療技術です。次に多いのは肝細胞がんに対する血管塞栓術で、2名の肝臓専門医が放射線科専門医と共同で行っています。3番目に多いのが胆管炎、胆嚢炎、閉塞性黄疸などに対する内視鏡的胆道ステント留置術です。腹痛、発熱、黄疸などの症状で救急受診、また他院から紹介されてくる多くの患者様に対し、救急専門医とも協力して短時間で的確に診断し、内視鏡的、または経皮的な緊急治療を24時間体制で行っています。
この他にも、早期の消化器癌に対する内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、食道静脈瘤に対する内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(EIS)や結紮術(EVL)、肝癌に対するラジオ波焼灼術(RFA)、膵胆管系のステント留置術、さらに消化管出血に対する緊急止血術や胃瘻造設なども数多く取り扱っています。
外科(消化器外科;乳腺外科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 119 5.93 6.61 4.2% 63.03
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 61 1.15 3.70 0.0% 68.79
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 59 1.07 7.83 0.0% 69.39
消化器外科で最も多いのは胆嚢結石症に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術、次に鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡手術です。表にはありませんが、次に多いのは消化器系の癌に対する悪性腫瘍切除術で、平成27年度の場合、胃癌は51例(うち鏡視下26例、以下同じ)、大腸・直腸癌は切除症例として関連する術式を合計すると104例(81例)、食道癌4例(4例)、肝癌に対する肝切除術20例(1例)、膵癌8例となっており、多様な悪性腫瘍に対応しています。他にも虫垂炎に対する虫垂切除や内痔核に対する痔核手術等、様々な手術を取り扱っています。
乳腺外科が扱う乳腺悪性腫瘍に対する切除術は、診療報酬において術式が細分化されてしまうため最も多い術式として表のような値の表記となっていますが、乳癌に対する切除術全体としては年間約200例の手術を施行しています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 14 4.07 6.50 0.0% 46.79
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 12 3.58 8.33 0.0% 72.42
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) - - - - -
奈良県の地域がん診療連携拠点病院である当院は、日本呼吸器外科学会より呼吸器外科手術の施設認定を受けております。平成27年度は年間46例の手術を行い、そのうち原発性肺がんが22例となっております。気胸に対する手術も積極的に施行しております。
当科の手術は、そのほぼ全例を「胸腔鏡手術」で行なっております。また通常では難しいとされる「小さな病変を的確に切除する」ことも、独自の手法を用いながら執り行なっております。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 53 1.32 11.57 11.3% 78.17
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術 その他のもの 19 9.79 41.95 10.5% 61.47
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 13 1.77 32.62 23.1% 64.85
慢性硬膜下血腫に対する慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術、脳腫瘍に対する頭蓋内腫瘍摘出術、脳動脈瘤に対する開頭クリッピング術が上位を占めています。他にも脳動脈瘤に対する脳血管内手術、穿頭脳室ドレナージ、水頭症手術などの取り扱いも多く、経皮的頚動脈ステント留置術等の血管内治療も行っています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 103 3.60 21.04 52.4% 76.15
K0462 骨折観血的手術(前腕) 95 1.33 10.15 3.2% 59.77
K0821 人工関節置換術(膝) 76 1.86 25.99 23.7% 72.73
骨折に対する観血的手術が上位となっています。特に大腿骨に対する手術が多いのは高齢者の転倒等による大腿骨の頚部骨折や転子部骨折の増加の影響と考えられます。また前腕の骨折は交通外傷やスポーツ競技中の事故によるものが多くを占めます。
3番目の人工関節置換術(膝)は、高齢者の変形膝関節症に対するものです。
当科では他にも脊椎疾患に対する椎間板摘出術や椎弓切除術、また靱帯損傷や滑膜炎等に対する関節鏡下の手術等、整形外科領域における多彩な手術を数多く取り扱っています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 21 1.38 5.38 0.0% 72.71
K4763 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 15 1.00 12.80 0.0% 45.93
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上) 11 0.45 4.55 0.0% 53.45
入院を要した手術症例としては、皮膚の基底細胞癌や有棘細胞癌、ボーエン病等に対する切除術が最も多く、次に乳房再建、続いて様々な皮膚・皮下腫瘍の切除術が多くなっています。
当科では他にも、先天性疾患である口蓋裂や多指症の形成術、術後や外傷後瘢痕の再建術等を幅広く取り扱っています。
※2番目の「乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)」はDPCデータ上の主たる手術として挙がっていますが、乳腺外科と形成外科が共同して乳癌に対する乳房切除術と同時再建術を行っている症例を意味しています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 54 1.22 3.67 0.0% 72.46
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 45 5.40 9.33 13.3% 73.22
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 32 1.47 2.81 0.0% 66.69
膀胱癌に対する膀胱悪性腫瘍手術、腎盂腎炎等の尿路疾患に対する経尿道的尿管ステント留置術、尿路結石症に対する経尿道的尿路結石除去術が上位を占めています。他にも前立腺癌に対する根治術、前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺手術をはじめ、腎・副腎の切除術や精巣摘除術、精巣固定術等を取り扱っており、平成27年度は年間約300例の手術を施行しました。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 117 1.91 6.40 0.9% 37.39
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 64 2.83 9.06 0.0% 31.70
K9091 流産手術 妊娠11週までの場合 50 0.08 0.26 0.0% 33.46
当科で取り扱う主要手術症例の上位3位はいずれも周産期関連が占めています。
婦人科領域としては、子宮癌や卵巣癌などの悪性腫瘍手術、子宮筋腫や卵巣嚢腫などの良性腫瘍手術も数多く施行しており、平成27年度は手術場で375件の手術を行いました。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) 874 0.05 2.56 0.0% 75.74
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 37 0.95 10.92 0.0% 65.35
K284 硝子体置換術 - - - - -
入院症例の96.5%を占めるのが白内障に対する水晶体再建術で、1回の入院で片眼・両眼のいずれを治療されるかによって入院日数が異なります。
次に多い症例は、網膜硝子体疾患である網膜剥離、糖尿病性網膜症に対する手術が続きます。
耳鼻いんこう科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 44 1.75 5.30 0.0% 20.98
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 15 1.40 3.07 0.0% 53.80
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術IV型(汎副鼻腔手術) 13 1.69 2.92 0.0% 62.23
当科で最も手術症例が多いのは、慢性扁桃炎や口蓋扁桃肥大、アデノイド増殖症による気道障害に対する口蓋扁桃摘出術(アデノイド切除も含む)です。次に、副鼻腔炎に対する内視鏡手術が続いています。こちらは粘膜下下甲介切除術、後鼻神経切断術、鼻中隔彎曲矯正術含めて多く施行しています。
その他にも、頚部腫瘍や甲状腺癌、口腔癌、喉頭癌に対する切除術、声帯ポリープ切除術、また他診療科からの依頼による気管切開術等、耳鼻いんこう科領域における様々な手術を施行しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 22 0.24%
異なる 23 0.25%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 53 0.57%
異なる - -
 当院DPCデータ上、医療資源を最も投入した傷病名がDIC、敗血症、その他の真菌症、手術・術後の合併症の分類にあたる症例数や発生率は上表の通りでした。(年間を通して10件に満たない項目は数値を表示しておりません。)この表において、医療資源を最も投入した傷病名が入院契機の病名と同じ症例は入院の時点で既にその疾患をもたれており、その治療を主目的に入院された症例、入院契機と異なる症例は別の疾患の治療を目的に入院された後に疾患が見つかった、あるいはその疾患に罹患した症例と読み取ることができます。当院の場合、敗血症と手術・処置等の合併症に分類されるDPCでの請求が年間10例以上生じていることがわかります。
 敗血症の治療に最も医療資源を投入した症例の数は、入院契機と同一のものが22件、異なるものが23件と、ほぼ同数程度ありました。敗血症とは、細菌やウイルスなどが体に感染し、それを阻止しようとする体の免疫による防御反応とが関連して生命を脅かす臓器障害を来した状態とされています。つまりは感染症をきっかけに続発する、より重篤な状態ですので、入院時に敗血症となっている方もいらっしゃれば、入院後に悪化して敗血症となる方もいらっしゃいます。敗血症は、従来から生命を脅かす非常に重篤な病気ですが、全世界で現在進行形に研究がすすんでおり、徐々に救命できるようになってきています。当院では病状の早期把握を心がけ、世界的なガイドラインなどを参考に治療を行っております。
 一方、手術・術後の合併症については、大半の症例が医療資源を最も投入した病名と入院契機が同一の症例で53例でした。入院契機と異なる症例は10件に満たない数であり、その中には麻酔に起因するもの等が含まれていました。前出の53例の内訳としては、乳癌術後後遺症が最も多く12例でした。これは当院に形成外科があり、乳房切除後の再建目的で治療を行っているためで、本来カウントされるべき意味合いのいわゆる「合併症」の治療とは異なります。続いて、消化器の後出血は11例あり、生検、EMR、ESD後の出血による再入院でした。消化器外科における吻合部狭窄は10例あり、悪性腫瘍切除後の癒着性イレウス等によるものでした。整形外科では人工関節置換術後の脱臼が7例ありました。この4つで全体の8割近くを占めており、乳癌術後後遺症を除くと合計41例、0.44%でした。当院においては合併症を起こさないように各科で最大限の注意を払いつつ医療を行っておりますが、残念ながら手術や処置においては一定の割合で合併症は生じます。それに関しては手術や処置を施行する前に十分患者さんに説明して、可能性のある合併症についてご理解いただくようにしています。
更新履歴
2016/9/30
コメントを追加しました
2016/9/23