臨床検査室
市立奈良病院の検体検査室で行っている、主な検査項目の簡単な説明を記載しています。ここに記載の内容は、一般的な内容を載せていますが、患者様によっては、同じ検査項目であっても意味合いが異なることがございますので、ご自身の検査結果の詳細な内容については、担当医師にご相談ください。
検 査 項 目 | 検 査 で わ か る こ と | |
肝機能 |
AST(GOT) | 主に肝疾患、心疾患で異常値(高値)を示します。 |
AST(GPT) | 主に肝疾患で異常値(高値)を示します。 | |
LDH (乳酸脱水素酵素) |
身体のほとんどの組織・臓器に分布する酵素です。主に肝疾患・心疾患・筋肉の損傷により高値を示します。 | |
ALP (アルカリフォスファターゼ) |
主に肝疾患・胆道疾患・骨疾患等で高値を示しますが、各種病態で上昇する酵素です。 | |
CHE (コリンエステラーゼ) |
脂肪肝で上昇しますが、その他の肝疾患(肝炎・肝硬変等)で低値を示します。 | |
γ-GTP (ガンマジーティーピー) |
肝・胆道疾患で高値を示します。又、アルコ-ルの摂取量に敏感に反応します。 | |
TP(総蛋白) | 栄養状態や肝臓、腎臓の機能が分かります。 | |
ALB | ||
T-BIL (総ビリルビン) |
肝・胆道疾患で高値を示します。黄疸の程度を反映します。 | |
D-BIL (直接ビリルビン) |
肝疾患の状態・診断や黄疸の鑑別の検査です。 | |
脂質 |
T - C H O (総コレステロル) |
動脈硬化、 肝、 糖尿病、 脂質代謝等の状態を示します。 |
T G (中性脂肪) |
食事の影響を受ける検査です。アルコ-ルや糖分の過剰摂取で高値を示します。 | |
H D L-コレステロール | いわゆる善玉コレステロ-ルです。 | |
L D L-コレステロール | いわゆる悪玉コレステロ-ルです。高値を示す場合は、脳梗塞、 心筋梗塞等の動脈硬化に結びつく可能性があります。 | |
腎機能 |
BUN (尿素窒素) |
蛋白の代謝で産生される窒素分、主に腎障害で上昇しますが手術後、妊娠、飢餓、消化管出血などで上昇します。 |
CRE (クレアチニン) |
腎機能が低下すると上昇します。 | |
UA (尿 酸) |
痛風・腎障害で上昇しますが、利尿薬などで上昇する場合があります。 | |
心臓・筋肉 |
CK(クレアチンキナーゼ) | 心臓や筋肉の損傷で高値を示します。 |
C K-M B | 心臓に特異性が高いため心筋梗塞等で高値を示します。 | |
NT-proBNP | 健常人のNT-proBNPの血中濃度は極めて低く、心不全の重症度に応じて血中濃度が上昇します。 | |
膵臓 |
AMY(アミラーゼ) | 膵臓・唾液腺から分泌される消化酵素で膵疾患・唾液線疾患で上昇します。 |
P-AMY | 膵臓由来のアミラーゼで、膵疾患で上昇します。 | |
電解質 |
Na(ナトリウム) | 身体の水分量や筋・神経の興奮の維持など、生命維持に重要な役割を果たします。 |
K ( カリウム ) | ||
Cl( クロール ) | ||
Ca(カルシウム) | ||
IP( 無機リン ) | ||
Mg(マグネシウム) | ||
鉄 |
Fe(血清鉄) | 鉄欠乏性貧血で減少します。 |
T I B C | 鉄の運搬を担う蛋白(トランスフェリン)の全てと結合できる鉄の総量。鉄欠乏性貧血で上昇します。 | |
U I B C | 未結合の蛋白(トランスフェリン)と結合できる鉄量。鉄欠乏性貧血で上昇します。 | |
フェリチン | 鉄の貯蔵状態をし、各種血液疾患の病態把握に有用です。 | |
糖代謝 |
GLU(血糖値) | 血糖値の測定により、糖尿病や低血糖を呈する各種の糖代謝異常が推測できます。 |
H b A 1 c | 2~3ヶ月の血糖の平均を示します。糖尿病で上昇します。 | |
貧血 |
WBC(白血球) | 細菌やウイルス等の外敵から身を守る細胞(白血球)の数です。 |
RBC (赤血球) | 血液中の酸素を運搬する細胞(赤血球)の数で、貧血では低値を示します。 | |
Hgb(ヘモグロビン) | 赤血球内に存在し、体内で酸素の運搬をする役目を持っています、貧血では低値を示します。 | |
Ht(ヘマトクリット) | 貧血の指標のひとつで、血液中の赤血球と血液成分の比です。 | |
MCV | 赤血球の大きさを示し、どの様なタイプの貧血かの診断に用います。 | |
MCH | 赤血球中一個あたりのヘモグロビン含量で、どの様なタイプの貧血かの診断に用います。 | |
MCHC | 赤血球に含まれるヘモグロビンの濃度を示し、どの様なタイプの貧血かの診断に用います。 | |
PLT(血小板) | 出血を止める役目をもっています。 | |
炎症 |
CRP | 炎症性疾患などで上昇する急性期反応物質の1つです。各種炎症の診断や経過観察などに用います。 |
免疫 |
IgG | 感染症、腫瘍,自己免疫性疾患を含むさまざまな抗体産生系の異常をきたす疾患のモニタリングの目的で測定されます。 |
IgA | IgAの増加の有無は多発性骨髄腫の診断に重要です。またIgA単独欠損症などを知る目的で用います。 | |
IgM | IgMは抗原刺激によって最初に産生されます。各種疾患の診断、予後、重症度,経過観察などの目的で用います。 | |
感染症 |
HCV 抗 体 | C型肝炎ウイルスに現在感染している、あるいは過去に感染していたことを示します。 |
HBs 抗 原 | 現在、B型肝炎ウイルスに感染していることを示します。 | |
HBs 抗 体 | 過去、B型肝炎ウイルスに感染していたことを示します。 | |
RPR | 梅毒の感染状態を示します。梅毒以外の病原体等によっても陽性を呈したり、治療後でも陽性を呈することがあります。 | |
T P 抗 体 | ||
HIV 抗 体 | HIVウイルスに感染しているか否かを示します。 | |
腫瘍 |
CEA | 消化管の悪性腫瘍や肺癌などで上昇する腫瘍マーカーです。高齢者や喫煙者では若干高値になる傾向があります。 |
CA19-9 | 膵がん、胆道がんなど各種消化器がんで上昇する腫瘍マーカーです。 | |
CA1 2 5 | 卵巣癌、子宮内膜症、類皮嚢胞腫、消化器癌、妊娠、生理でも上昇する腫瘍マーカーです。 | |
CA15-3 | 乳癌の診断に対して特異性の高い腫瘍マーカーです。 | |
PSA | 前立腺癌の診断に対して特異性の高い腫瘍マーカーです。 | |
ホルモン |
TSH (甲状腺刺激ホルモン) |
大脳付近の下垂体より分泌されるホルモンで甲状腺機能を把握する上で有用な指標となります。 |
FreeT3 | 甲状腺機能状態のみでなく、種々の疾病におけるT4の末梢代謝状態を知る一指標としても有用です。 | |
FreeT4 | 甲状腺機能を良く反映し、甲状腺機能診断の有用な指標となります。 |