呼吸器外科
【診療科の概要】
呼吸器外科では心臓や大血管を除く肺や縦隔などの胸部の疾患を対象に手術を行っております。 疾患別では肺がんが最も多く、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍などの腫瘍性疾患を主に扱っております。 その他には気胸、膿胸、多汗症などの良性疾患の手術も行います。
【主な対象疾患と診療内容】
肺がん:年間約12万人が罹患し7.5万人が亡くなり、肺がんの5年生存率は40%を下回っており未だに厳しい状況です。 ただ一方で分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などが開発され改善の兆しが見えております。 その影響もあり術後成績も改善し長期生存される割合が徐々に高くなっております。 術後に限りますと5年生存率は2010年の全国統計で74.7%と報告され、現在では80%がうかがえるところまで来ております。 そこで肺癌の根治に加え、術後の生活の質や併存疾患への影響も考慮し呼吸機能の温存が重要となっております。
最近のトピックスとして2022年に肺がんの標準術式に大きな変化がみられました。日本臨床腫瘍研究グループから注目すべき結果が報告されました。
それによりますと「2㎝以下のステージIAの小型肺がんでは区域切除が肺葉切除に比べ全生存期間で良好な結果である(JCOG0802)」ことが示されました。
「小さい肺がんは区域切除で呼吸機能を温存した方が良い」と言えます。その他にも北米の臨床試験(CALGB140508)などでも縮小手術に肯定的な結果が示されました。
これまでは肺葉切除が唯一の標準術式でしたが、肺癌診療ガイドラインも2022年版から肺癌の悪性度に応じて縮小手術も標準術式として認められるようになりました。
この結果を受け近年の肺がん手術では根治性と呼吸機能の温存を両立させる区域切除の割合が飛躍的に増加しております。
肺は再生しないため呼吸機能を温存し早期の社会復帰や他の疾患リスクを低減することが重要です。ただし機能温存といっても根治性を下げることはできません。
そこで「根治に必要な最低限度の侵襲」が望ましいと考えます。当院では術前に3D-CTでシミュレーションを作成し切除する区域を決定することで、個々の患者さんごとに根治性と機能温存の両立に取り組んでおります。
一方で局所進行肺がんに対しては周術期の治療法が多く開発されて参りました。 以前からのプラチナ併用化学療法に加え、免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬が周術期治療に用いられるようになりました。 これらの新規薬剤を周術期治療に応用することで局所進行肺がんにおいても大きな予後の改善が示されております。 当院でも薬物治療を専門とされている呼吸器内科の先生方と協力しながら行っております。
転移性肺腫瘍:
大腸など他臓器の腫瘍が肺に転移を来すことがありますが、主治医の先生と相談しながら適応や術式を決定しております。肺癌と同様に低侵襲で負担の少ない術式を選択するようにしております。
縦隔腫瘍:左右の肺に挟まれた縦隔と呼ばれる領域に発生する腫瘍で、これまでは胸骨正中切開で縦に大きく切るアプローチが中心でした。 現在では腫瘍の大きさや占拠部位などの条件はありますが胸腔鏡を中心に行っております。
気胸:
20歳代前後に肺嚢胞(ブラ)の破裂が原因となる原発性自然気胸を主に対象として胸腔鏡での治療を行っております。
25歳未満では10~20%と高率に再発すると報告されており、その一因として自動縫合器の使用が挙げられており、当院では肺嚢胞(ブラ)の縫縮などリスク低減に取り組んでおります。
喫煙などによる続発性自然気胸につきましては多くは保存的に対応しております。
【入院スケジュール(基本例)】
入院前:
検査:画像・血液・生理機能などの検査を行います。
禁煙:必ず禁煙してください。
説明:手術や麻酔についての説明を行います。
リハビリ:器具を使用したり運動などで呼吸機能訓練を行います。
移動:手術の2日前に一般病棟(3階西病棟)に入院します。
検査:身長・体重、体温など測定します。必要な場合には採血、レントゲンを行います。
説明:看護師から入院生活について説明があります。
内服:薬剤師が使用している薬を確認します。
飲食:眠前まで飲食できます。
処置:体毛の除毛を行います。その後に入浴します。
飲食:食べることはできません。6時まではお茶やお水は飲めます。
内服:必要な薬は6時までに飲んで頂きます。
着替え:手術衣に着替え、弾性ストッキングを履きます。入れ歯やコンタクトなどははずしてください。
移動:9時前に手術室に向かいます(火曜日は11時)。
移動:肺葉切除や区域切除は集中治療室(ICU)に入室します。部分切除や縦隔腫瘍などは一般病棟(3階西病棟)に帰室します。
酸素・点滴・胸腔ドレーン・各種モニター・尿道カテーテルなどが装着されています。
飲食:午前の手術は夕から飲食を再開します。
内服:夕から再開します。
リハビリ:一般病棟の場合には夕より歩行を開始します。
家族説明:手術の概要を説明します。
面会:集中治療室(ICU)あるいは3階西病棟でご本人と面会して頂けます。
移動:集中治療室(ICU)から一般病棟(3階西病棟)に移ります。
検査:採血やレントゲンなどの検査があります。
点滴:食事摂取量に応じて点滴は終了します。
リハビリ:歩行や呼吸訓練などのリハビリを再開します。
歩行ができれば尿道カテーテルを抜去します。
胸腔ドレーンは1~3日で抜去できることが多いです。
各種モニターは装着します。
リハビリの進み具合や検査結果などを確認し退院日の調整を行います。
指導:管理栄養士が栄養指導を行います。
退院
【診療実績(2025年)】
全身麻酔手術60件(原発性肺癌33件、転移性肺腫瘍4件、気胸7件など)【外来】
外来日は水曜日(午前・午後)と金曜日(午前)ですが、お急ぎの場合などではご連絡いただけましたら可能な範囲ではございますが対応させて頂きます。担当医紹介
常塚 啓彰(呼吸器外科部長)
| 学歴・学位 | 京都府立医科大学医学部 平成15年卒/医学博士 |
| 専門医・活動 | 日本外科学会 外科専門医・指導医、 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医・評議員、 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、 肺がんCT検診認定医機構 肺がんCT検診認定医、 ロボット(ダ・ヴィンチ)手術執刀ライセンス認定医 |
| 専門分野 | 呼吸器外科手術全般 |


























