ごあいさつ
市立奈良病院は、国立病院機構 奈良病院が奈良市に移譲された平成16年12月1日に誕生しました。病院の開設者は奈良市でありますが、実際に病院を管理し、運営しているのは公益社団法人「地域医療振興協会」です。わかりやすく言いますと、「公的な使命を持った民間運営の病院」ということです。公的機関のさまざまな欠点は以前から指摘されていますが、その問題点を解決し民間としての効率性や弾力性を兼ね備えることによって、市民にさらに寄り添い本来の「市立病院」が確立されるものと信じ、現在もなおそれに向かって病院改革を進めております。
公的病院としての重要な役割には、市民の皆さんが最も心配しておられる救急医療と、それに並んで産科と小児科の充実があると考えています。一般救急に関しては総合診療科を中心とする救急専門医による救急診療体制を充実させ、可能な限り救急患者さんの受け入れをおこなう体制を作ってまいりました。今後もその体制をさらに強化し、1人でも多くの患者さんを救えるように努力してまいります。
また、さまざまな疾患に対しては、患者さんの立場に立ち、効率的かつ専門的な医療を進めるためにセンター化を推進しつつあり、 現在、消化器肝臓病センター、四肢外傷センター、脳・神経センター、乳腺センター、網膜・硝子体センター、人工関節センター、頭頸部・甲状腺がんセンター、脳卒中センターが稼働しております。
さらに平成26年にオープンした新病院では、手術室を8室に増室し、集中治療室(ICU・CCU)と緩和ケア病床を新設するなど、より高度で利便性の高い医療の実現に向けた体制を構築しております。
また、当院のもう1つの重要な使命に医療従事者の教育・育成があります。医師においては基幹型臨床研修病院の指定を受けている研修医育成から、内科、総合内科、救急科、整形外科、形成外科をはじめとする各科専門医の養成。そして看護師は学生実習、新人教育から、認定看護師、専門看護師、特定行為看護師など、高度な看護職養成にも力を入れています。さらに薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、理学療法士、管理栄養士や救急救命士など、さまざまな職種の医療従事者たちが、日夜たゆまず医療の技術とこころの修練をおこなっております。
市立奈良病院は奈良市の中核病院として、そして何より市民の皆様のための病院として、より一層の発展をすべく職員一同で取り組んでまいる所存ですので、今後とも皆様の温かいご支援、ご協力とともに、ご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
院長 下川 充