登録事業を始めるに当たって
市立奈良病院では、遺伝性乳がん卵巣がんの診断のために、特定非営利活動法人日本HBOCコンソーシアムが実施するBRCA遺伝子検査を受けた方を対象としてデータの収集を行う登録事業に参加協力することといたしました。これは日本人の遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)の症例の積み重ねにより、BRCA遺伝子変異の日本人により適した精確な予測、癌発症の頻度、治療方針、治療成績などの特徴を明らかにして、今後、HBOCの診療で対策を立てていく方のために有用な情報を作成することを目的としています。
本登録事業は臨床研究として各医療機関の倫理審査委員会で承認を受けた上で実施されるものであり、日本HBOCコンソーシアムの倫理委員会及び市立奈良病院のIRB(施設内倫理委員会)の審査で承認を受けています。
研究課題名:「BRCA遺伝子検査に関するデータベースの作成」
登録事業とは、具体的に、BRCA遺伝子検査を受けられた方の診療情報(がんの進行度、病理の所見、治療及び治療効果)、遺伝子解析結果及び家族のがんの罹患状況を各医療機関でまとめ、全国のデータを集計するデータセンターに登録します。また、長期的な治療成績を調査するため、データは1年に1回、各医療機関でまとめ直し更新を行います。その際、個人を特定できる個人情報はすべて削除した上でデータセンターに登録するシステムになっており、個人情報が外部の施設に同意なしに持ち出されることはありません。登録された情報はデータセンター内で厳重に保管し、データセンターの関係者だけで登録情報の解析を行います。有用な解析結果を毎年公表し、全ての医療機関の診療で利用できるようにします。登録事業とは担当医師の地道な努力と対象となる方のご協力があって成り立つものであり、次の世代へ疾患の基本的なデータを残すために多くの関係者の協力が必要です。
本登録事業は、登録の対象となるBRCA遺伝子検査を受けられた方に説明文書を用いて本登録事業について説明して同意を得た上で登録を行うこととしています。しかし、すでに治療が終了するなど当院を受診していない方や死亡された方については本登録事業の説明や同意をいただくことができない場合も、上記の個人情報を削除する形でデータ登録をさせていただきますのでご理解を賜りたいと存じます。またご本人だけではなく、血縁者の病歴を登録しますが、この場合にも同様に個人情報の取得は一切行うことはなく、個人のプライバシーに配慮して登録事業を行っています。
研究協力は任意であり、ご本人が登録事業への参加を希望しない場合にはデータの登録は行いません。また、本研究に協力いただけなくてもその後の診療に影響が出ることはありません。
当院をすでに受診していない場合には、担当者から直接、本研究の詳しい説明を実施するのが難しいのですが、本登録事業についてご不明・ご心配な点がある場合、登録事業への参加を拒否したい場合などは、下記連絡先までお問い合わせください。
上記登録事業にご理解いただき、ご協力いただけますようよろしくお願い申し上げます。
(日本HBOCコンソーシアムにおける研究代表者)
日本HBOCコンソーシアム
理事長
中村 清吾
(当医療機関における責任者)
市立奈良病院
乳腺センター長
小山 拡史